『ブルーバレンタイン』監督の実話をベースにしたドゥームド・ロマンスの傑作

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大切な人との別れを経験したことがあるのなら、愛が消え去る瞬間を考えたことがあるはず。

それは突然訪れ、長い時間を掛けて深まった愛が一瞬にして消えたのか?

それとも、時間と共に少しずつ消えていったのか?

恋は盲目と言われるように、愛が消え去る瞬間の私たちも盲目であり、その答えは後にしかわからない。

そんな運の尽きた2人の恋物語を描く、ドゥームド・ロマンスの傑作と言っても過言ではないのが、映画「ブルーバレンタイン」だ。

12年の月日をかけ完成した脚本

ブルーバレンタイン

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看護師のシンディーとペンキ職人のディーンは、6歳の娘を持つ平凡な家族。

ある朝、娘のフランキーが飼い犬のメーガンを探すシーンから、映画「ブルーバレンタイン」は始まる。

本作はたった2日間のあいだに、他愛もない夫婦生活が壊れていく様子を、結婚に至るまでの幸せな過去を交えながら描く。

監督のデレク・シアンフランスは、1994年(当時20歳の頃)に両親が離婚し、そのショックに立ち直れずにいた。

両親の離婚から4年が経過しても心の傷は癒えず、自分を立ち直らせるため、1998年に脚本を書き始める。

監督は12年もの月日を費やし、両親の愛がどのように始まり、どのように愛が消え去ったのかを理解・納得するため、67回も脚本を書き直した。

本作で描かれるディーンは、両親の離婚を察知できなかった、当時のシアンフランス監督を投影しているという。

12年かけて完成した脚本は、監督の両親が大好きだった、歌手トム・ウェイツのアルバム「ブルーバレンタイン」から付けられた。

ドキュメンタリー性を追求したリアルな演技

ブルーバレンタイン

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視聴者からすると「ブルーバレンタイン」はドゥームド型のロマンス映画だが、シアンフランス監督にとって本作は、自身が立ち直るために作ったドキュメンタリー作品である。

監督は最初にシンディーとディーンが恋に落ち、結婚するまでのプロセスを全て撮影した。

その後、ドキュメンタリー作品を観るような結婚生活を描くため、主演のライアン・ゴズリングミシェル・ウィリアムズを1か月ほど同居させた。

彼らはシンディーとディーン夫婦になりきるため、2週間の食費は200ドルしか使わず、常にお金に関する問題を抱えながら生活を送る。

知り合ってから間もない2人にとって、バスルームの共有や調理、1日3回の皿洗いなどはかなりストレスになったという。

しかし、これがシアンフランス監督の制作意図であり、「ブルーバレンタイン」で描かれる喧嘩のシーンは、ゴズリングらに同居のストレスを爆発させた状態で演技に挑ませた。

結婚指輪を付けた状態で多くの時間を費やした、ゴズリングとウィリアムズには友情が生まれ、撮影が終了したときに指輪を外すのをためらったほどだ。

セルロイド製フィルムを使って描くノスタルジアな過去

ブルーバレンタイン

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「ブルーバレンタイン」では、ディーンやシンディーが動揺するシーンとは対照的に、幸せだった過去の出会いなども同時に描かれる。

過去のシーンでは本物のセルロイド製フィルムを使い、少し荒めに撮影を行ったことから、温かみのあるアナログチックな映像とカラーで、私たちにノスタルジアを感じさせた。

タップダンスできるの?曲を弾くから、それに合わせて踊って。

出会ったばかりのディーンとシンディーが、歌いながら踊る夜のシーンでは、自然な対話にするためゴズリングとウィリアムズに即興で演技させている。

恋は盲目と言われるように、アナログチックに描かれる過去は、私たちをも盲目にしたのだ。

冷たい青が強調された現在

ブルーバレンタイン

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本作はディーンとシンディーの動揺が増すごとに、冷たいブルー(青)を強調したカラーで物語が進行する。

特にシンディーの「愛」が薄れているのを示すのは、ディーンがホテルに行こうと言い出したときだろう。

ディーン:それじゃあ、未来の部屋を予約します。(電話)
シンディー:あなた、いかれてるわ。
ディーン:さあ、荷物をまとめて。未来へ行こう。

お酒を飲むと本性が出ると言われるように、ホテルのシーンでは冷たい青が強調され、シンディーの愛がほぼ消え去ったことを示した。
ブルーバレンタイン

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ラストに映し出された過去で、ディーンが結婚のために着ていた温かく明るいブルーのスーツは、時間と共に冷たいブルーへと変わっていく。

これが映画「ブルーバレンタイン」の、ブルーの部分なのだ。

パパ!パパ!パパ!行かないで!ここにいて!

フランキーが叫びながらディーンの元に走るシーンは心をひき裂かれるが、これがデレク・シアンフランス監督が意図した、ドゥームド・ロマンスである。

これがデレク・シアンフランス監督が、現実を受け入れるために自身の心の傷をえぐった、「ブルーバレンタイン」なのだ。

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本ページの情報は2020年9月時点のものです。
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