『プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵』木の<カギ>で扉は開くのか?

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1978年の南アフリカで人種隔離政策(アパルトヘイト)の撤廃を訴えるパンフレットを頒布し、懲役12年の刑を言い渡された男が、木と彫刻刀だけで脱獄を試みる。

そんな作品を描くのが、フランシス・アナン監督の初長編デビュー作「プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」だ。

本作は「ハリー・ポッター」でおなじみの俳優ダニエル・ラドクリフが主演を務め、自由で公平な南アフリカを求めて戦った男たちの物語を描く。

木と彫刻刀だけで脱獄した男の実話

プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵

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映画「プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」は、異国の地で木と彫刻刀だけで脱獄をこころみた、男たちの物語を描く。

本作はフィクションのようなプロット(あらすじ)だが、劇中で描かれるのはティム・ジェンキンの実話である。

彼は70年代後半にアパルトヘイトの撤廃を訴えるため南アフリカに渡り、活動から18か月後に友人のスティーヴン・リーと共に逮捕された。

ジェンキンは12年、リーは8年の懲役刑を言い渡され、プレトリア中央刑務所に収監される。
プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵

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彼らは刑務所で知り合ったフランス人受刑者のレナード・フォンティンと共に、彫刻刀で作った木の鍵を使用し、脱獄に挑んだ。

結論から言って、ジェンキンらは脱獄に成功し、それから数十年後の2003年にノンフィクション小説を出版。

その小説を基にしたのが映画「プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」であり、脱獄から40周年を迎えた2020年に公開された。

実際の脱獄で使用された彫刻刀を使用。そして本人のエキストラ出演

プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵

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本作はドラマ「プリズン・ブレイク」のような脱獄劇を楽しむ作品ではなく、ティム・ジェンキンの<ハラハラした緊張感>を追体験する作品だ。

映画では実際にジェンキンが脱獄のために使った彫刻刀を使用し、俳優のダニエル・ラドクリフが見事に<当時のハラハラした緊張感>を再現した。

それだけではなく、映画には本物のティム・ジェンキンも、受刑者役でエキストラ出演している。
ダニエル・ラドクリフとティム・ジェンキン

Image by:Instagram @cine_thusiast ティム・ジェンキン (右)

本作の制作秘話で面白いのはこれだけではない。

ティム・ジェンキンは脱獄の後に、一緒に育った従妹と何十年も連絡が取れなかった。

監督のフランシス・アナンは、本作のロケ地探しで南アフリカに訪れた際、ある3人と出会う。

それがティム・ジェンキンの2番目の従弟の妻とその母親、そしてジェンキンが何十年も探していた従妹だった。

アナン監督はすぐにジェンキンに連絡し、奇跡のような再開を果たした。

また、彼女らも本作にエキストラ出演している。

製作陣の徹底した<プレトリア中央刑務所>の研究

プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵

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ジェンキンのエキストラ出演や実際の彫刻刀の使用。

その他に本作で注目すべき点は、70年代のプレトリア中央刑務所を細かく再現していることだ。

ここまで当時の過酷な刑務所を再現できたのは、製作陣の徹底した研究だろう。

フランシス・アナン監督と製作陣は、ジェンキンがどのような経路で脱獄したのかを知るため、実際のプレトリア中央刑務所(現在は違う建物)に訪れた。

監督らはジェンキンがいたとされる独房に行き、手作りの木鍵で開けた10個の扉や、実際の脱獄経路をたどった。

残念ながら現地での撮影は許可されず、監督は当時のプレトリア中央刑務所に似た撮影現場を探した。

そして見つけたのが、南オーストラリアのレッドルース刑務所だ。
プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵

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この歴史ある刑務所は博物館として運営され、1980年の戦争映画「英雄モラント/傷だらけの戦士」の撮影現場としても知られる。

製作陣らは少ない資料から細かな研究を行い、レッドルース刑務所を当時のプレトリア中央刑務所に変身させた。

そういったフランシス・アナン監督や製作陣の努力で、私たち視聴者は「プリズン・ブレイク」ではあまり感じられなかった、ハラハラした緊張感を味わえたのだ。

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