『戦場のアリア』100年前の聖なるクリスマス。悲劇が<奇跡>に変わった

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クリスチャン・カリオン監督の傑作として知られ、サンタバーバラ国際映画祭で観客賞に輝き、アカデミー国際長編映画賞にノミネートされた映画「戦場のアリア」

「ラッシュ/プライドと友情」でオスカー候補に選ばれた俳優ダニエル・ブリュールが出演し、ダイアン・クルーガーギヨーム・カネなど、多国籍のキャスト陣が出演している。

本作は第一次世界大戦中のクリスマスに、その瞬間が止まればと誰もが望んだ<奇跡>と、その後の現実を描く。

『戦場のアリア』100年前の聖なるクリスマス。悲劇が<奇跡>に変わった

戦場のアリア

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第一次世界大戦下の1914年、フランス北部のデルソーでは、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍が至近距離で睨み合っていた。

戦争による極度のストレスや疲労にこんぱいした両軍の将兵らは、いつ戦争が終わるかもわからないまま、クリスマス・イヴの夜を迎える。

国は違えど平和を願う気持ちと宗教が一緒の兵士らは、音楽の力で戦争という悲劇に奇跡をもたらした。

本作はフィクションのような物語だが、実は国に内緒で将校らが一時的な休戦をし、ともにクリスマスを祝った100年前の「クリスマス休戦」という実話を基にしている。

この歴史にそって監督・脚本を担当したのは、フランス人監督のクリスチャン・カリオンであり、「戦場のアリア」が2作目の長編映画となった。

さまざまな実話に基づいた脚本

戦場のアリア

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「戦場のアリア」の登場人物などはほとんどがオリジナルだが、ストーリーは「Batailles de Flandres et d’Artois 1914-1919」というイヴ・ブフェトーの書籍を参考にしている。

本作に登場したドイツ人テノール歌手のニコラウスも架空の人物だが、彼の性格は実在のテノール歌手、ヴァルター・キルヒホフ(1879年~1951年)と同じだ。

キルヒホフは映画の内容と同じように、極度のストレスや疲労にこんぱいするドイツ軍兵士のために、危険な戦場で歌を披露すると決めた。

彼の歌声は敵対するフランス軍の塹壕にまで響き渡り、敵や味方関係なく多くの歓声が上がった。

キルヒホフはもっと近くで歌を披露するため、映画で描かれたニコラウスのように、危険をかえりみず塹壕を上ったとされる。

劇中で描かれるサッカーの試合も、1914年の第一次世界大戦中に、ロイヤル・ウェールズ・フュージリア連隊とザクセン陸軍の試合を基に描かれた。

本作の内容とは異なる猫の実話

戦場のアリア

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映画でフランス人兵士がネスターと呼び、ドイツ人兵士がフェリックスと呼んでいた猫も、実話に基づいて描かれた。

しかし、映画では少しだけ事実が変更されている。

本作の終盤でオードゥベール中尉は、「反逆罪で猫を逮捕するように命じられた」と冗談のように言うが、実話では本当に猫が反逆罪で逮捕され、銃殺刑となった。

カリオン監督は最初、実話に基づいてそのシーンも撮影していたが、誰も信じないと思いシーンを削除。

また、監督は猫をかわいがっていた当時の兵士らに敬意を示し、猫が単に逮捕されるだけのような描き方(終わり方)をした。

映画が世界に与えた影響

戦場のアリア

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本作はもともとR指定(17歳未満の鑑賞には、保護者の強い同意が必要)で公開された。

しかし、映画評論家のロジャー・イーバートがそれを批判し、アメリカ映画協会が公式にPG-13(13歳未満の鑑賞には、保護者の強い同意が必要)に変更。

そのおかげで多くの若者が、本作をきっかけに「クリスマス休戦」の歴史を知ることになった。

また、アメリカ人作曲家のケヴィン・プッツは、本作のストーリーを基にした「サイレント・ナイト」というオペラを作曲。

「サイレント・ナイト」は2011年にミネソタ州で初公演され、翌年にピューリッツァー賞の音楽部門で賞に輝いた。

このオペラも映画「戦場のアリア」と同様に、クリスマスの夜をともに祝い友情を築いた、1914年の兵士たちに捧げられている。

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