『SKIN/スキン』全身に刻まれた<理由なき憎しみ>という名のタトゥー

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憎しみを込めて全身に刻んだ53個のタトゥー。

理由はないが、愛国者として奴らを憎んできた。

クソどもを追い出せ

今までの人生に疑問なんてものはなかったが、何かが違う。

これが俺なのか?俺は本当に<レイシスト>として生きたいのか?

過去の罪(十字架)を背負いながらでもいい。俺は<本当の自分>になりたい。

リトル・ダンサー、凶悪なネオナチに変貌

2000年に公開された「リトル・ダンサー」で、まだ幼かったジェイミー・ベルは、バレエに夢中になる愛らしい少年役を演じた。

18年後。彼は俳優人生で最も過激な役に挑戦した。それが映画「SKIN/スキン」だ。

ジェイミーは本作で体に39箇所、顔に14箇所のタトゥーがある白人至上主義者の役を演じ、社会に牙をむく彼の演技は傑作と言えるだろう。

「SKIN/スキン」はもともと、イスラエル人監督のガイ・ナティーブが、「Erasing Hate」というブライオン・ワイドナーのドキュメンタリー映画を見たことがきっかけで、映画化を決めた。

しかし、監督は資金調達に苦労し、最初に同じテーマを扱った短編映画(別ストーリー)を制作。

それが第91回アカデミー賞の短編実写映画賞に輝き、長編映画の制作に至る。

全身タトゥーの特殊メイクを施したジェイミー・ベルは、予算の関係で数日ほど全身タトゥーのまま私生活を過ごし、身も心もブライオン・ワイドナーになりきった。

狐と猫のマインドコントロール

SKIN/スキン

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「SKIN/スキン」でジェイミー・ベル演じるブライオンの見た目やレイシスト思考は、視聴者に強烈なインパクトを与える。

しかし、本作で描く恐怖はレイシストの若者ではない。彼らを<レイシスト>へと洗脳していく、クレイジャー夫妻(演:ビル・キャンプ&ヴェラ・ファーミガ)だ。

彼らは童話「ピノキオ」に登場する、詐欺師で狐のJ・ワシントン・ファウルフェローと、その子分で猫のギデオンのような存在。

世界のことなんか何もわからない、無知な少年少女に食事仲間という大きな存在を与え、愛情を注いで育てる。

だが、彼らは<普通>として育てるのではなく、自称:愛国者のレッテルを張った、レイシストに育てていくのだ。

黒人やイスラム教徒、同性愛者が憎いわけじゃない。奴らにも生きる権利はある。だが、私が言いたのは「アメリカから出て行け」だ。

この言動からわかるように、クレイジャー夫妻に差別をする明確な理由はない。ただ嫌いなだけだと言えるだろう。

しかし、愛情を注がれて育った子供たちは、両親のような存在であるクレイジャー夫妻の背中を見る。彼らは<両親>のように他人種や宗教を憎み、そのヘイトは暴力に変わる。

差別主義者になる要因は人それぞれだが、こういった「理由なき憎しみ」は最大の脅威であり、最も恐ろしいことだ。

3つしかない解決策

SKIN/スキン

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賛成派・反対派がいるように、差別主義を掲げる集団があれば、それを反対する集団もいる。

2016年公開の「アンダーカバー」で描かれたように、正義のために差別を反対する集団ですら、攻撃という形でしか主張できない人々もいるのが事実。

ヘイト行為を止める方法は3つ。殺すか、終身刑にするか、転向させるかだ。

これは「SKIN/スキン」で、差別に反対するダリルが放った言葉だ。

多くの人は「転向させたい」を選ぶが、転向させるにはどうしたらいいのか?

残念ながら映画「SKIN/スキン」で、その答えは描かれない。なぜなら、答えなんかないからだ。

私たちは差別する・される世界に生きており、この問題は「平和」を実現するための、最大の課題と言えるだろう。

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