『ファナティック』感想レビュー【切なくも恐ろしいハリウッドの狂愛者】

MOVIE

Image by:fullcirclecinema.com

私たち一般人でもわかるように、ハリウッドスターの背後には「ファン」という名目で、多くのストーカーが存在する。

熱狂的なファンの中には、普段は「善人」として知られている人物も、何らかの理由で「狂愛者」となってしまう可能性もあるだろう。

そういった人物の物語を描くのが、映画「ファナティック ハリウッドの狂愛者」だ。

切なくも恐ろしい「ファナティック ハリウッドの狂愛者」

【あらすじ】度が過ぎた「好き」が人をストーカーへと変貌させる

ファナティック ハリウッドの狂愛者

Image by:1031freshradio.ca

ハリウッドの大通りでイギリス人のふりをして、ストリートパフォーマーをするムースは、⼈気俳優ハンター・ダンバーの熱狂的なファンだった。

彼は過去にハンターが使用したジャケットに全財産を注いだり、彼の過去作を全て見たりするような熱狂ぶり。

しかし、ムースは「悪人」ではないため、多くの知人から好かれていた。

ある日、彼はハンター・ダンバーのサイン会へ行き、ハンターが過去に使ったベストにサインをもらおうとする。

自分の出番が来た時、ハンターは諸事情により席を外れ、彼を追いかけたムースは冷たくあしらわれてしまった。

その後、ムースは知人のリアから、ハリウッドスターの家を調べられるアプリ「スターマップ」を教えられ、ハンターの自宅へと向かう。

玄関前で家を眺めていると、ランニングから戻ったハンターに見つかり、「二度と来るな」と言われる。

だが、ムースは来るなと言われたのにも関わらず、再びハンターの家へ行き、ストーカーへと変貌していくのであった。

【キャスト】ストーカーに追われるはずの俳優が演じるストーカー

ファナティック ハリウッドの狂愛者

Image by:bloody-disgusting.com

本作の目玉と言っていいのが、何百人ものストーカーがいるであろう、大物俳優が演じるストーカー役だ。

そんな主人公ムースを演じるのは、「パルプ・フィクション」など数多くの名作に出演した、ジョン・トラボルタ

ムースが熱狂的に支持する俳優ハンター役を演じるのは、日本ではあまり知名度がない、テレビ映画&ドラマに多く出演しているデヴォン・サワ

ムースを影で支える若い女性は、ハリウッドで知名度を上げてきている若手女優アナ・ゴーリャだ。

キャスティングに関しては賛否両論があるものの、私はこの3人が主演だからこそ、本作が狂気に満ちた作品になったと思う。

「ファナティック ハリウッドの狂愛者」のここが恐ろしい【感想レビュー】

憎めない存在のムース

ファナティック ハリウッドの狂愛者

Image by:theguardian.com

ストーカー映画の場合、私たち視聴者でも憎めてしまう存在を描くことが多い。

しかし、本作で描かれるムースは、ストーカー気質はあるものの、少年のように無邪気で憎めない。

これは映画「ジョーカー」を見た人なら、理解しやすいかもしれない。

ただ、この「少し変だけど憎めない存在」の恐ろしいところは、何をするかわからないことだろう。

よくニュースなどで耳にするはず、「そんなことする人じゃなかった」という、事件の犯人を知る人。

それが「ファナティック ハリウッドの狂愛者」で描かれる、主人公のムースだ。

現実世界にも存在する、ハリウッドスターの家を調べられるアプリ

ファナティック ハリウッドの狂愛者

(C)BILL KENWRIGHT LTD, 2019

本作ではムースが知人のリアに、「どうやってハリウッドスターの家を見つけるの?」と聞き、リアは彼にあるアプリを教える。

それがハリウッドスターの家を調べられるアプリ、スターマップだ。

一般人からしたら「すごい!」と思うかもしれないが、ハリウッドスターからしたら震撼ものだろう。

また、こういったアプリやサイト、ガイドブックは現実世界に存在する。

ハリウッドには、俳優ジョニー・デップなど大物スターの家の周辺を回るツアーもあるくらいだ。

現実世界は映画よりも恐ろしいのかもしれない。

ストーカーの心理

ファナティック ハリウッドの狂愛者

Image by:imdb.com

私は有名人ではないが、過去にストーカー被害にあった経験がある。

実体験から私が学んだ恐怖は、一般人には理解できないストーカーの心理だった。

本作でムースはハンターの家へ行き、彼から「二度と来るな」とあしらわれる。

一般人だったら警察の通報などを恐れて二度と近づかないだろうが、ムースは違う。

彼は気味悪がられていることを自覚せず、警告されても翌日にはそれを忘れ、再びストーカー行為に及ぶ。

私が過去に遭遇したストーカーも接近禁止命令が出されたが、逮捕されるまでそれを無視していた。

なんでも学べてしまうYouTube

ファナティック ハリウッドの狂愛者

(C)BILL KENWRIGHT LTD, 2019

なんでもインターネットで学べてしまう現代だからこそ、恐ろしいのは本当に何でも学べてしまうことだ。

ムースはハンターの家に侵入した後、彼を逃がさないようにロープで縛る。

ハンターは「こんなのどうやったんだ?」とムースに聞くと、彼は「YouTubeで見たんだ」と答えた。

自分が得意なことを見知らぬ人に教えられるYouTube。

もしアナタがYouTuberで、自分のノウハウを発信していると、知らないうちにムースのような人物に、危険なことを教えているのかもしれない。

異常な「愛」

ファナティック ハリウッドの狂愛者

Image by:wsj.com

私は「愛すること」を絶対に否定しない。

なぜなら、多くの人はジャスティン・ビーバーを愛したり、トム・クルーズのファンになったりする権利があるからだ。

しかし、一方的な「愛」には限度がある。

私たち視聴者からすると、ムースは単にハンターを愛していただけだ。

でもその愛は、私たちが想像できないレベルまで行ってしまうことがある。

そうなったら最後、誰にも止められないだろう。

「ファナティック ハリウッドの狂愛者」の評価

作品としての評価【感想を含む】

ファナティック ハリウッドの狂愛者

Image by:dailydead.com

これは個人的な感想だが、私は本作のアイデアは新鮮で素晴らしいと思う。

映画監督でロックバンドのフロントマンでもある、フレッド・ダーストの実体験を基にているため、本作で描かれることはリアルに近い。

しかし、「ファナティック ハリウッドの狂愛者」は、映画祭での評判は最悪だった。

IFCS・アワードで本作は「最悪な作品賞(Worst Film)」を受賞し、主演のジョン・トラボルタは第40回ゴールデンラズベリー賞で、最低主演男優賞に輝いてしまった。

ロッテン・トマトでの評価

ファナティック ハリウッドの狂愛者

Image by:rottentomatoes.com

評論サイト「ロッテン・トマト」でも、本作の評価は最悪だ。

視聴者からは30%の支持しか得られず、映画評論家からは17%の支持率しか得られなかった。

支持率は低いものの、中には好意的なレビューを寄せている評論家も多くいる。

オーストラリアの評論家であるスティーブン・ロメイ氏は、本作についてこう語っている。

フレッド・ダースト監督のアプローチは最高だ。88分も心理的なスリラーを見せてくれ、マーティン・スコセッシ監督の「キング・オブ・コメディ」と比較できてしまう。

インフルエンサーは必見

ファナティック ハリウッドの狂愛者

(C)BILL KENWRIGHT LTD, 2019

「ファナティック ハリウッドの狂愛者」は、人を選ぶ作品だ。

しかし、「アイ・アム・サム」をスリラー調で描き、「ジョーカー」によりリアリティーを持たせた映画が見たいなら、私は本作を全力でおすすめする。

特にSNSでインフルエンサーとして活動する人にとっては、本作の視聴は必須だ。

教科書だと思って見た方がいい。

人気記事U-NEXT(ユーネクスト)のメリット&デメリット。評判・口コミをステマなしで完全レビュー!