映画『ナイチンゲール』感想レビュー&見どころ【人間の醜さとオーストラリアの残酷な歴史】

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こんにちは、映画ライターのチョロマツ @dailyaly0819)です。

2014年の名作ホラー「ババドック~暗闇の魔物~」で業界に名を馳せた女性プロデューサー、ジェニファー・ケントが監督と脚本を務めた映画「ナイチンゲール」

本作は2018年にオーストラリアで初公開され、シドニー映画祭ではあまりにも残酷な内容から、30人前後の観客が拒絶反応を示し途中退場した問題作。

映画は英国植民地時代のオーストラリア・タスマニア島を舞台にしていることから、19世紀の美しい光景がスクリーンで見られる。

しかし、綺麗な光景とは別に、本作の目玉と言っていいのが英軍の犯罪行為と、それの被害者になった女性の復讐だ。

シドニー映画祭を震撼させた問題作「ナイチンゲール」

【あらすじ】綺麗ごとなしの残酷な歴史

映画『ナイチンゲール』

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約4年も続いた、イギリス植民者とタスマニアン・アボリジニーの争い(通称:ブラック・ウォー)の真っただ中にあったオーストラリアのタスマニア島。

アイルランド人のクレア・キャロルは、過去に起こした窃盗罪で囚人となり、イギリス軍将校であるホーキンスの部隊に仕えていた。

彼女は刑期を終えても解放されることはなく、ホーキンスに約束であった開放の書類を要求するが、それに腹を立てた彼がクレアに性的暴行を加える。

翌朝、クレアと夫のエイデンは逃走を図るが、ホーキンスに見つかってしまい、いざこざの末に夫・エイデンは殺害された。

部隊に所属する若き兵・ジャゴは、ホーキンスにクレアの子供を黙らすように命令され、泣き止まない子をどうしていいかわからず、混乱の末に殺めてしまう。

あまりのショックから気絶したクレアはその場に倒れ、翌朝に目を覚ましたと同時に現実を受け入れ、自らの手で復讐を遂げることを決意する。

彼女は森林地帯に詳しい案内人のビリーを雇い、過酷な復讐の旅に出るのであった。

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【キャスト】あの大物俳優まで!?

映画『ナイチンゲール』

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映画「ナイチンゲール」で主人公クレア役を務めるのが、日本ではあまり知名度がないアイルランド出身の女優、アイスリング・フランシオシだ。

彼女は19歳の頃に女優デビューを果たし、ドラマ「THE FALL 警視ステラ・ギブソン」や世界で絶大な人気を誇った「ゲーム・オブ・スローンズ」などに出演。

「ナイチンゲール」ではその演技力が多くの評論家から絶賛され、オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞で主演女優賞に輝いた。

そして、残酷なイギリス軍将校ホーキンスを演じるのが、イケメン俳優として映画「世界一キライなあなたに」などで名を馳せた、サム・クラフリン

本作で見せる悪役ぶりは、クラフリンの俳優人生で初めてだ。

映画「ナイチンゲール」の感想

美しい背景と同時に描かれる、残酷なブラック・ウォー

映画『ナイチンゲール』

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まず本作を初めて視聴した人は、1800年代前半のタスマニア島の美しい森林や山々に圧倒されるはず。

そんな美しい場所で起こっていたのが、ブラック・ウォーだ。

タスマニア島を植民地にしようとしていた当時のイギリス人は、先住民のアボリジニを動物に見立て、狩りを行っていた残酷な歴史がある。

本作でもその様子が描かれており、差別的な言動や行動は目や耳を覆いたくなるだろう。

しかし、これが綺麗ごとなしのオーストラリア史だ。

1800年から現代に通じる、差別問題

映画『ナイチンゲール』

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近年では「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」という言葉を、よくニュースで目にするだろう。

実はこういった差別問題の歴史は古く、1800年前半を舞台にした本作でも描かれている。

主人公のクレアは、イギリス人に家族を殺害され、憎むべきイギリス人に英語を教えられて育った、アボリジニのビリーを強い侮蔑を込めて「Boy(ボーイ)」と呼んでいた。

また、当時はアイルランド人を軽視する英国人もいたため、アボリジニを差別していたクレアですら、「お前は英国人か?」と聞かれたときに「英国人じゃない。私はアイルランド人だ」と怒りをあらわにした。

本作ではこういった、現代にも通じる差別問題を「醜い歴史」と同時に描いている。

本作の物語は「復讐」だが、単なるリベンジ映画ではない

映画『ナイチンゲール』

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映画「ナイチンゲール」のストーリーの大部分は「復讐」としているため、多くのメディアで「リベンジ映画」として紹介されている。

しかし、それは全くの間違いであり、本作は「暴力」「泣き寝入り」の物語だ。

もちろん本作の前半に描かれる内容は、男性監督が制作したリベンジ映画のように「物理的な痛さ」がある。

物語が進むごとに、それは「精神的な痛さ」へと変わり、女性監督ならではの意図になっている。

これは個人的な意見だが、たんなるリベンジ映画を見たいなら、2015年の「デッド・オア・リベンジ」を見る方が良いだろう。

映画「ナイチンゲール」の評価

ナイチンゲール

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本作は過激な描写からシドニー映画祭で多くの途中退場者を出したが、物語自体は多くの人から絶賛されている。

ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞に輝き、ニューヨークを拠点にする女性映画ジャーナリスト同盟では、EDA・スペシャル・メンション・アワードも受賞。

先ほども少し紹介したが、本作で主演を務めた女優アイスリング・フランシオシも、オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞で主演女優賞に輝いた。

ロッテン・トマトでの評価

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映画評論サイトとして世界的に有名な「ロッテン・トマト」で、本作は評論家から86%の支持率視聴者から73%の高支持率を出している。

女優でイギリスの評論家クラリス・ローレイは、「本作は魂を傷つけられる」といい意味でレビュー。

また、同じく評論家のシャーロット・オサリバンは、「最も衝撃的なのはこの映画なのか?映画が終わったとき、私は暖かいハグから解放されたような気持ちになった」とレビューしている。

最後に

映画「ナイチンゲール」

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イギリスやオーストラリアで人気を誇る本作だが、実はアメリカや日本、東ヨーロッパでの知名度はあまりなく、アンダーグラウンドな映画として知られている。

しかし、アンダーグラウンドながら本作は多くの人に支持されており、視聴後に「人間とは何なのか?」と考えさせられるだろう。

本作は過激な内容もあるため、人に勧めるべき映画ではないが、人生で1度は見ておくべきだ。

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